Marshall流50周年の祝い方

2012年はMarshallにとって重要な年でした。50周年を迎えることはどんな企業にとっても大きな功績ですが、Slash曰く「業界標準を提供してきた」この会社にとっては格別です。お祝いなしで素通りできる記念日ではありませんし、他の会社と同じような祝い方をするわけもありません。

Marshallは、その年の始まりとして、非常に特別な5セットの1WのヘッドとコンボのリリースをNAMMで発表しました。しかもそれらはイギリス製のフル・バルブで限定版・・・Marshallファンであれば絶対に手に入れたいものでした。その5つのセットは過去5つの年代を記念していること、発売は11週間隔であることが発表され、これがファンにとって1年間のパーティーになることを意味していました。

50周年記念モデルは、それぞれの10年間で最も象徴的なアンプからインスピレーションを受けています。1960年代は「JTM」、1970年代は「JMP」、1980年代は「JCM」、1990年代は「DSL」そして最後に2000年代は「JVM」となりました。

1Wアンプのシリーズと聞くと、「おとなしい」アンプだと思うかもしれませんが、実のところフル・バルブ駆動のMarshallにおいては全くそんなことはありません。幸いなことに、Marshallは50年間の競争の歴史から、出力についていくつか学びを得ていたので、各モデルの背面に出力をわずか0.1Wに下げる「ロー・パワー・スイッチ」を設けました。Jim自身はそれらを「ホーム・フレンドリー」と呼んでいましたが、ギター誌は、ロー・パワー・モードでも、「本格的な練習やレコーディングにも十分な音量」と評価しました。つまるところ、それがMarshallアンプというものなのです!

各アンプは英国製で、リアパネルには50周年記念のプレートが取り付けられています。さらにこれが”おしとやかな”記念行事「50 years of loud」という、またとない機会と組み合わさって、この限定モデルに対する需要は天井知らずとなりました。

1960'S: JTM-1H HEAD AND JTM-1C COMBO

2012年1月にリリースされたJTM-1HとJTM-1Cは、60年代のデザインを完全に体現したものです。ブロック・ロゴ、Bluesbreaker風フレット・クロス、レターボックス・スタイルの「Plexi」フロント・パネル、ジュエル・パワー・インジケーターと最小限のコントロール類など、60年代的なのは外観だけではありません。

Marshallの流儀に則り、コンボには10”のCelestion G10F-15スピーカーが搭載されています。Jim自身も、「どちらのアンプも、デザイン面でもサウンド面でも60年代に作ったものと全く同じようだ」とコメントしています。合計で2,000台あまりが生産され、幸運なファンのもとに届けられました。

1970'S: JMP-1H HEAD AND JMP-1C COMBO

3月、Marshallは70年代をイメージした JMP-1HヘッドとJMP-1Cコンボをリリースしました。このアンプには70年代スタイルのゴールドのロゴ、Plexiではなくゴールド・アルミのフロント・パネル、そしてコンボにはチェック柄のフレット・クロスが採用されました。 コンボには、8”もしくは10”のCelestionスピーカーが搭載された2種類がありました。これらは50周年記念アンプの中で最も人気があり、需要を満たすために約3000台が製造されました。 このアンプは絶賛され、Guitarist Magazine誌では「まったくもって素晴らしい、どちらもモデルとなったフルサイズのオリジナル製品を驚くほど彷彿させるものだ」と評されました。

1980'S: JCM-1H HEAD AND JCM-1C COMBO

JMPの発売から11週間後、1980年代をイメージしたJCMセットの準備が整いました。 80年代のイギリスの音楽は、新世代のロック&ヘヴィ・メタルが主流で、そのサウンドにおける重要な要素であったJCM800がJCM1の基盤となりました。ヘッドとコンボの両方がJCM800の象徴的なデザインとサウンドを忠実に再現していますが、一方で新しくブースト・ボタンが追加されました。

これは、2555 Silver Jubileeで最初に搭載された、ゲインとトーンのキャラクターをブーストするという気の利いた機能でした。レビューでは、「JCM1は「絶対的に愛らしく」かつ、「堂々たる爆音」を鳴らすことができる」と評され、わずか2800台のうちの1つを手に入れるための奪い合いに拍車をかけました。

1990'S: DSL-1H HEAD AND DSL-1C COMBO

1990年代は、その年代を代表するアンプを選択することが容易でなかった唯一の期間でした。入念な検討の結果、Jimとチームは、2つのチャンネルと独自のトーンを備えたDSLこそが、その年代を代表するにふさわしい勝者であると判断を下しました。小さな筐体にEQシェイピング機能とともに両方のチャンネルを搭載することが重要なポイントであったため、その点が技術的な課題となりました。しかし最終的にチームが満足できる内部構造に到達すると、DSL-1セットは他のほとんどの1Wアンプ・セットよりもはるかに多くの機能を備え、その後のすべての練習用アンプが続くべき青写真となってしまうほどの製品となっていました。9月にリリースされると、製造された2400台に、熱心なファンたちがたちまち飛びつきました。

2000'S: JVM-1H HEAD AND JVM-1C COMBO

2000年代から現在を代表するのは、2012年11月にリリースされたJVM-1でした。JVMの成功の鍵は、正確に再現されたその汎用性が、はるかにコンパクトなボディの中に収まっている点です。

JVM-1はクリーンとオーバードライブのチャネルを備えており、JVM-1Cには8”のCelestion G8C-15スピーカーを搭載し、Marshallらしい素晴らしいサウンドを楽しむことができます。このアンプの1Wバージョンのヘッドとコンボも再び好評を博し、それが2,250台という注文数にも表れています。

LIMITED EDITION HAND WIRED MKII BLUESBREAKER COMBO

Marshallの50周年を“1962”について語らずには完結できません。「Bluesbreaker」と呼ばれる貴重なコンボ・アンプは、ロックの歴史の中で最も高く評価され、人気のあるコンボの1つです。その上、その名前は偶然にもMarshallの歴史が始まった年を冠しています。これを念頭に、ギブソン・レス・ポール・ゴールドトップのエイジド・モデルとの組み合わせのみで展開される限定版のハンドワイヤードMKII Bluesbreakerコンボを製造しました。そのため、入手が非常に困難で、それ相応に高額な設定となりました。世界中で存在するのは50台だけですが、オリジナル第2世代の「1962」に最も近いアンプです。