THE STORY OF THE STUDIO SERIES

50年越しの家族の肖像

Marshallの歴史に残る三大偉人の再現

歴史上、Marshallを象徴するトーンといえば、3つのアンプが挙げられます。まず初めに、Jimi Hendrix、Cream、Biffy Clyroなど数えきれないほどのロックサウンドを生み出したJMP 1959SLP "Plexi "。その双璧をなすのが そのわかりやすい轟音でヘビーメタルを定義し、Slayer、Metallica、Bring Me The Horizonも愛用するJCM800 2203。そしてこのトリオの最後を飾るのはSlash、Joe Bonamassa、John Fruscianteなど、数え切れないほどのギターヒーローが愛用しているツールであり、理路整然とした方法でのエクストラ・ゲイン追加で汎用性に優れたSilver Jubileeです。

これらのアンプは当初、当時の新世代のミュージシャンのニーズに応えるために設計されました。プレイヤー達は、より大きな音で、よりハイゲインな大型アンプを求めており、そしてMarshallはただ音を出すだけでなく、プレイヤーが何を求めているのかに耳を傾けています。そして現代においてもこれらのアンプは驚くほど素晴らしい音色であることに変わりはないですが、100Wは恐らくクラブでのライブや自宅での使用よりも、スタジアムでの使用に適しているでしょう。

Marshallは、今日もお客様の声に真摯に耳を傾けています。歴史に残るロックンロールの巨人たちを、現代のギタリストにふさわしいものに変えたいという要望が、世界中のミュージシャンから寄せられてきました。軽量で持ち運びしやすく、場所をとらず、ワット数や音量が小さいもの。そこでStudioシリーズが誕生しました。

夢を育む

これらのアンプの製作は、決して簡単なことではありませんでした。半世紀の歴史を辿って、構造、メカニズム、サウンドを徹底的に理解し、完璧に再現する必要があったのです。期待は非常に高く、Studio シリーズは、これまでに私たちが生産してきた最も重要なアンプの正確な再現版であることを求められていました。

最大の問題は、100Wで生まれた音色の再現に20Wしか使えないことでした。そのため、開発には膨大な時間をかけて幅広く音色を変化させるために絶え間ない微調整を繰り返しました。何千回ものサウンドテストが実施され、各要素を必要なポイントにチューニングされています。

また、オリジナルのフルサイズアンプは、部品が大きいという問題もありました。加えて設計当時からの技術の進歩により、一部の部品が入手できなくなったり、当時と同じ音質が得られなくなったりしています。その結果、Studioシリーズでは一部手作業によるハンダ付けや、より大きな兄弟機と同じ回路設計を採用し、伝統的なデザイン・技術と現代のメカニックを融合した設計になっています。

しかし、すべての要素が設計の過程で忠実に再現されても、最終的なサウンドには小さな変化をもたらし、中には各アンプが持つ象徴的なサウンドから遠ざかってしまうものもありました。そのひとつがコンボ版のStudio ClassicとVintageに搭載されたスピーカーで、ワット数を下げると音にばらつきが生じ、1959SLPやJCM800 2203の本来の音色を正確に再現することができませんでした。このコンボは開発部門での長い時間を経て、オリジナルで象徴的なトーンを再現するのに最も適した10インチスピーカーが採用されています。

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では、「Studioシリーズでは、その音色をどの程度再現できているのか」という大きな疑問が湧いてきます。

そこで、Bring Me The HorizonのLee MaliaにStudio Classicの感想を聞いたところ、彼のオリジナルのJCM800 2203と全く同じ音がすると言っていました。NAMM 2019で発売されて以来、その需要はかつてないほどで、オリジナルモデル達のクラシックなサウンドをより小さな音で再現できるとあって、多くのミュージシャンを非常に喜ばせています。

未だ我々はMarshallらしさを失っていないようです。未だ我々はアンプを作り続けながらユーザーに耳を傾けています。完全にMarshallアンプのサウンドですが、想像していたような物ではない……それでいいのです。

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