アンプの選び方

アンプはなぜ必要か?

ギターサウンドの善し悪しを大きく左右させるのは、ギターでしょうか?それともアンプでしょうか?
アンプは、ギターの信号を増幅し、色付けして、スピーカーから空気を振動させて音が鳴る音の最終地点です。

アンプは単なる機器ではありません。真空管やトランジスターが奏でる楽器だとマーシャルは考えています。

アンプはダイジな相棒

アンプとは、カッコいい音を追求するギタリストにとって、大切な相棒です!
カッコ良さの定義や表現方法は人それぞれですが、ピッキングの強弱、フレーズの緩急使い分け、ビブラートのかけ方などを的確に表現できるアンプがあれば、よりギターの音を楽しむことができます。

回路で区分すると・・・・

A)プロのギタリストが愛して止まないフル・バルブ

フル・バルブ回路とは、プリアンプ部もパワーアンプ部も真空管が使用されているタイプです。
音の太さ・抜け・コシが格段に違います。

多くのプロギタリストがフルバルブ・アンプを愛して止まないのがそれを証明しています。
真空管は、トランジスターアンプと違い真空管の交換や定期的なメンテナンスが必要ですが、あなたも美しい歪と音圧の虜になるはずです。

フル・バルブモデル:JVM、JCM、Vintage、Handwiredシリーズなど

B)音の立ち上がりの早いトランジスター

フル・トランジスタアンプとはプリアンプ部もパワーアンプ部もトランジスタで駆動するタイプです。
音質・音圧ではフル・バルブタイプにはかないませんが、メンテナンスに優れ、真空管よりも低音の立ち上がりが早く、初心者でも簡単にマーシャルサウンドを奏でることができます。

フル・トランジスタモデル:MG、MB、ASシリーズなど

C)ハイブリット回路とは?

ハイブリッド回路とは、【プリアンプで真空管を駆動するタイプ】と【パワーアンプで真空管を駆動するタイプ】のことを言います。
以下、【プリアンプタイプ】と【パワーアンプタイプ】
【プリアンプ・タイプ】はプリ側で真空管による音作りを行い、比較的安価でメンテナンスのしやすいトランジスタのパワーアンプで鳴らす方法。
【パワーアンプ・タイプ】は例えば、デジタルプリアンプ等で音を作り、アンプ部で真空管の温かみを加える使い方です。

ハイブリッドモデル:
プリアンプ真空管/ AVT、MODEFOURシリーズ(廃番品)
パワーアンプ真空管/ JMDシリーズ(廃番品)

ロックアイコンのフル・スタック

A)スタック・タイプ

マーシャルのトレードマークで「三段積み(フル・スタック)」や「二段積み(ハーフ・スタック)」と呼ばれるアンプ(ヘッド)とキャビネット(スピーカー)を積み上げたスタイルです。お好みのヘッドとキャビネットを組み合わせて楽しむ事もでき、積み重ねることで音だけでなく、貫録のあるステージを創り出す、まさにロック・アイコンです。
12インチスピーカー4台をキャビネットに収めるというスタイルは、マーシャルアンプの歴史の一翼を担っています。

B)コンボ(ビルトイン)・タイプ

コンボタイプはアンプ部とスピーカー部をひとつのケースに収めたタイプ。
練習用の小型コンボからステージ使用の大出力のモデルまで多彩なバリエーションがあります。
同じアンプ部を使用したモデルでもスタックタイプとコンボタイプのものでは(例えばJVM410HとJVM410C)サウンドが異なります。
マーシャル史上最初のコンボ1962(Bluesbreaker)は1965年、エリック・クラプトンのリクエストにより誕生しました。クラプトンは、車に詰め込めるようなコンボが欲しいと要望し、これにマーシャルが応えたことでこのコンボが実現しました。
※画像はJVM410Hと1960Aの(スタックタイプ)とJVM410C(コンボタイプ)です。

スピーカー数で区分すると・・・

スピーカー1台の商品例

1974X
DSL40C

スピーカー2台の商品例

1958X
JVM410C

アンプの選び方

アンプはあなたのギターサウンドを左右する重要な機材ですから慎重に選ぶべきです。
アンプを選ぶ際に重要なことは、まず自分のスタイルを見つめ、それに合ったアンプを選ぶことが肝要です。
その指針として、以下のキーワードから対象のモデルを割り出してみてはいかがでしょうか。

●機能で選ぶ

「アンプ直!」=ギターとアンプだけで勝負!というギタリストは別にして(^^)、チャンネル数、ループやMIDI、DIアウトの有無は重要なポイントです。

アンプは音を出す楽器…マーシャルは何よりも音質を重視しています。
回路はシンプルで混じり気がないほど、良い音になる傾向があるといわれています。それゆえギターを普通に弾く上で本当に重要な機能だけを搭載するよう設計しています。

1959などのビンテージ系のアンプは1チャンネルであることが多く(開発された60年代にはマルチ・チャンネルやマスターボリュームという発想がありませんでした)、クリーンと歪みはギターのボリュームで使い分けます。

もしくは、アンプはクリーンにセットしておき、エフェクターで歪みをつくります。ビンテージのオリジナルモデルにはついていませんでしたが、現在製造中のリイシュー・ビンテージモデル(1959SLP、1987X、2203)には多くのリクエストに応え、後年シリーズ・ループ回路が搭載されました。
JCM900以降のマルチ・チャンネル・モデルはクリーンと歪みのサウンドをスイッチひとつでコントロールできます。
DSLシリーズは2チャンネルです。また、JVM4シリーズは4チャンネル仕様で、各チャンネル3モードで計12種類のサウンドを出すことができます。
例えばクリーン・チャンネルでアルペジオのバッキングを、クランチ・チャンネルでパンチの効いたリフを、そしてリード・チャンネルで歌うようなソロ・プレイを弾くことができます。
エフェクトループは、【送る信号すべてをループ回路に送り出すシリアル・ループ】と【原音とループ経由の音をブレンドさせるパラレル・ループ】の2種類があり、マーシャルはシリーズによってタイプが異なりますのでご注意ください。

尚、両方のタイプのループを併設しているのはJVMだけです。また、MIDI機能を搭載している現行モデルはJVMのみです。

●能力で選ぶ

頻繁に使う場所を考慮して、状況にふさわしい出力のモデルを選びましょう。例えば三畳間に三段積みではいかにも無理があります。これは大きさだけが問題なのではなく、フルバルブのモデルを蚊のなくような音量で使用しても低音が出ずペラペラの音になってしまいます。

一方、東京ドームのステージにMG10CFを使用してPAで拡声するのも問題があるでしょう。ディストーション・サウンドを多用するヘビィなロックを例に取ると、フルバルブ・モデルの場合は、バンド・フォーマットで使用する時には余裕を持って100W、最低でも50Wのモデルが理想です。ビンテージ系の1ボリューム・タイプのモデル(1959SLPなど)は音量を上下することによって著しく音質が変わります。

トランジスタパワー・モデルの場合(MGシリーズなど)は最低でも100W以上欲しいところです。しかし、あくまでも演奏する音楽のタイプにもよります。低音は予想以上に抜けが悪いため、小出力のものを無理して大音量で鳴らすと歪んでしまったり故障につながったりします。一方、大音量を必要とせず練習などで使用する場合は、50W以下のもので十分です。フルバルブ・モデルの50Wなどはステージで十分使用できる位の音量があります。

一般家屋で鳴らす場合はMGなどのトランジスタパワー・モデル、またはDSLシリーズのような出力を抑えるスイッチを搭載した小出力のモデルがふさわしいでしょう。

●歪みで選ぶ

歪みはマーシャルのお家芸。歪みを知り尽くしたマーシャルのラインアップからお好みのディストーション・サウンドをゲットしてください。一般的にディストーション・サウンドというものは歪みが増せば増すほど細く、ヌケが悪くなっていきます。その点、マーシャル・アンプのディストーション・サウンドはどのモデルも太く、ヌケがよいという大きな特長があります。

マーシャルのフルバルブ・モデルは概して発表時期が新しいほど歪みが強い傾向があります。(リイシューは除く)JCM800より900、JCM2000よりJVM といった具合です。1959SLPや1987Xといったビンテージ系のモデルはかなりの音量を上げないと歪みません。また、歪むところまで音量を上げるのは普通のシチュエーションでは難しいでしょう。このようなビンテージ系のアンプを使用する場合はBB2やGV2のようなオーバードライブ系のエフェクターを使用して歪ませるとよいでしょう。ビンテージ系のモデルは元の音が非常に太いため、歪み系のエフェクターを使用してもヌケのよいコシのあるディストーションを出すことができます。

●ルックスで選ぶ

ロック・ステージでのルックスを考慮すれば、ギターアンプにおいてはフルスタック(三段積み)に勝るものはないでしょう。数多くの三段積みアンプを眼にしますが、マーシャルがオリジナルです。マーシャル・フルスタックはその究極のロックサウンドだけでなく最高にクールな舞台装置として、40年以上にわたってギタリストやベーシストの背後を彩ってきました。ハーフスタック(二段積み)にしてもステージでの存在感は格別です。

ヘッドとキャビネット、幅80cm弱、合わせて高さ120cm弱の黒い箱に"Marshall"のロゴが付されているだけでロックの香りを醸し出せるのではマーシャルが育んできた歴史のなせる業です。

●コストパフォ-マンスで選ぶ

マーシャルはプロ、アマを問わず世界中のギタリストに愛用されています。
モデルを問わず生産数も大量です。マーシャルはそのスケールメリットを活かし、可能な限りお求め安い価格で商品を提供するよう努めています。

ここには、創設者ジム・マーシャルの最大のモットーである「良いものをよりお求めやすく」の精神が息づいています。
当然これ以外にもさまざまな観点があることでしょう。肝心なのはいつも弾いているお気に入りのギターをお店に持ち込んで納得がいくまでジックリ試すことです。実際に音を出してみることが非常に大切です。
その場合にも実際に使用する環境を想定して試すよう心がけてください。
そうしてご納得いただき、選ばれたアンプがマーシャルであることを願って止みません。