ペダル・ヒストリー – Part 2

Marshall Supa Wahに続いて、1980年代後半から90年代初頭にかけての代表的なペダル、Guv'norとMark Iの製造・発売までのストーリーを追っていきましょう。

THE GUV’NOR
1988 - 1992

マーシャルが再びペダルの製作を試みるまでにはしばらく時間がかかりましたが、今度は私たち独自の仕様のものを、私たち自身で開発・製造しました。1962年に最初のアンプを開発し、1967年に最初のペダルを開発して以来、私たちは多くのことを学んできました。私たちはその知識を実践に移したいと考えました。

そのアイディアとは、私たちのアンプの最高の要素を「大きな黒い箱」から「小さな黒い箱」に凝縮したようなギターペダルであり、そうして誕生したのがthe Guv’norです。

この名前の由来は諸説あります。その数年前にスタッフが親しみを込めてJim Marshallに付けたニックネーム”Jim 'The Guv'nor'(おやじ、親方などの意味) Marshall”から名づけられたとも、あるいはJimが新しいペダルをテストするために連れてきた何人かのプレイヤーのうち、ペダルを大いに気に入った一人が放った「あのペダルはまさにGuv'norだ、そうだろう?」という一言が元になったとも言われます。いずれにせよ、そう名付けられました。

しかし、そのサウンドの素晴らしさについては議論の余地がありません。私たちの最も有名なアンプのクラシックな真空管ドライブサウンドをエミュレートしたGuv'norは、わずかにコンプレッションを帯びたスムーズなオーバードライブ・サウンドを提供しました。このペダルは90年代を通してGary Mooreに愛用され、彼のアルバム「Still Got The Blues」のジャケットにまで登場しています。

MARK I
1992 – 1998

Guv'norの成功により、私たちは更に3つのペダルの開発に着手しました。それぞれのペダルは、マーシャルが世界的に認められている所以であるクランチとディストーションをプレイヤーに提供するものでした。
「Drivemaster」はGuv'norを少しアップデートしたもので、「Bluesbreaker」は1962(通称Bluesbreaker)アンプのサウンドをベースにした、音に活気と色彩を加えるオーガニックなオーバードライブでした。Shredmasterはその反対で、よりハイゲインなディストーションですが、現代の基準では、ヘヴィロックやメタルよりもむしろ焼き付くようなリードプレイに適しています。

1992年に発売されたこのペダルたちは、当時は期待されたほどのヒット作とはならず、1998年に生産が中止されました。しかし、この話はここで終わらず、Bluesbreaker はSteve CradockやJohn Mayerの使用により90年代後半から00年代にかけて人気が爆発します。今ではBluesbreakerは、その独特の音と頑丈さからもコレクターズアイテムと化し、現在も根強い人気を誇っています。

Shredmasterにも同じようなエピソードがあり、後年RadioheadのJonny Greenwoodがアルバム「The Bends」全編に渡って使用しました。ファンは彼の全くユニークなサウンドを再現することを望み、その後需要が急増したのです。その音色は、Blurの「Song 2」のベースラインでも聴くことができ、その後、長年にわたってザラついた質感のインディー・ロックの代名詞となりました。

PART 3では、’The DRP-1’ と ‘Mark II’ ペダルのストーリーをご紹介します。